小春日和。
                  今日は気温も高く、三月下旬くらいの暖かさだと天気
                  予報は言っていた。 川の土手にも暖かい陽光が降り
                  注いでいる。土手の桜並木のつぼみもふっくらしてい
                  る。
                  「シバくんも食べない?おいしいよー」
                  兎丸の手にはアイスが握られている。今日は暖かいと
                  はいえ、風はまだ冷たい。司馬の手にはホットの缶の
                    お茶がある。司馬は兎丸にアイスを差し出されたが、
                  首を横に振って『いらない』という 意思を示した。
                  アイスを食べ終わった兎丸は身震いをした。
                  「寒い〜。シバくん頂戴!」
                  素早く兎丸は司馬の缶を奪った。そのまま、一口二口       
                  お茶を飲んだ。
                  「ありがとう、シバくん。・・・でも まだ少し寒い……」
                  兎丸はそのまま司馬に凭れかかった。司馬は兎丸を見
                  て苦笑しただけだった。
                  しばらく、二人はそのまま菜の花の咲く川を眺めていた。

                     文:りつ
                     絵:たちばな
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